歯を食いしばって途中下車

お題「ゆっくり見たい映画」

 

鬼滅の刃」2回目乗車してきた。

 

初回は興奮しすぎて、あっという間だった為

次は落ち着いて、余すところなく隅々まで観ようと意気込んで臨んだ。

 

平日の朝一、IMAXのちょっと高いチケット。

人も空いてて良い感じ。

前日の夜から心を整えて挑んだ。

 

いつもより早い時間に起きて、映画館へ足を運ぶ。朝日が気持ち良い。

心を整えて、平常心でまっさらな気持ちで席に着く。

映像もきれいだし音楽もよく聞こえるし

全集中で前半物語が過ぎていった。

すごく良い感じだった。

 

 

炭次郎が夢から覚めようとしている時

私の中でも、何かが目覚めようとしていた。

 

 

 

 

尿意だ。

 

 

 

まさかの尿意だ。

 

 

 

ありえない、まだこれからが大事なところなのに。

 

 

集中しろ、呼吸を整えろ、尿意のことなんて気にしなければ気にならない。

 

 

それから鬼殺隊VS鬼の闘いと並行して

私VS尿意の闘いが始まった。

 

 

 

結論から言うと、私は負けた。

煉獄さんが黎明に散っているその瞬間に、私はトイレへと駆けた。

 

炭次郎の「逃げるな卑怯者!」が、逃げる猗窩座に刺さった日輪刀のごとく

私の心にも鋭く刺さった。

 

私と同じスクリーンで映画を鑑賞中のすべての乗客のために

私は席を立つわけにはいかなかった。

みんな物語に入り込んでいるのに、いきなり私が席を立って途中下車すると

前後左右何列か、私が視界に入ってしまうだろう人々の心を乱してしまう。

この素晴らしいワンシーンを汚すわけにはいかない。

斜め前に座っている女性は、

煉獄さんがお弁当を食べている瞬間から涙を流されていた。

絶対に邪魔できない。

 

そう思い戦い続けた私だったが、あっけなく限界を迎えていた。

もうどこに力を入れても、どこの力を抜いても

わたしの膀胱が悲鳴を上げていて。

 

最後まではとても、わたしの膀胱が持たない。

これ以上我慢し続けると立てなくなってしまう。ここで粗相をしたら、、

なんて考えるだけでぞっとする。

手足の先が小さく震えだし、体を前後に動かしていないともう出てしまう。

 

 

エンディングの煉獄さんを拝んだら誰よりも早く駆け出ようと思っていた心が

どのタイミングで立ち上がろうか、という考えに切り替わる。

 

そうこうしているうちに上弦が登場。

きっと煉獄さんはもっと痛いし辛い。

わたしのこの状態なんて煉獄さんに比べたら、、、

なんて思ってもいられなくなっていて。

 

 

 

こっちへおいで、最後に少し話をしよう。

という優しい声を背中に浴びながら

私はスクリーンを去ったのだった。

 

 

 

よもやよもやだ。